2019 年は現代ラテンアメリカにおける一つの転換点と見なし得る。なぜならこの年は集団行動 がパンデミックの制約を受けなかった最後の年であるだけでなく、ラテンアメリカ諸国で社会 的、政治的、市民的運動が最も活発に展開された近年の情勢を代表する時期でもあったからで ある。新自由主義の課題に直面する歴史的趨勢とそれがグローバルに表明される時勢のなか で、ラテンアメリカ・カリブ地域では 2019 年、年々蓄積されてきた反新自由主義の抗議の波が 集約的に表れた。この年に我々が目にしたのはまさに、世界史における大規模で非暴力的な反 政府運動の最大級の波であった。本研究はアルゼンチン、ブラジル、チリ、コロンビアの抗議 運動の過程と力学から、地域の反新自由主義運動の基本的構成要素を明らかにする。